完成後のムクスタライフ

No.75

庭木の運命

近所の家が壊されることになりました。築40年。家の周りは大きなキンモクセイや青木の生け垣が茂っています。

持ち主は、庭木は全て置いていくと言います。

新しい家を建てるには、当然、更地にします。がっしりとしたキンモクセイの垣根も、奥さんが高校生のときに植えたというバラも、何も残らなくなってしまう。

せっかくの命、資源でもある庭木を簡単にゴミにしてしまっていいのか。母に聞くと、行政で引き取ってくれることもあるといいますが、もう間に合わないので、私達でできるだけ引き取ることにしました。

家を壊し始める数日前から、スコップを持ってあちこち掘ってみましたが、なにせ40年ものですから、根の張り方もすごい。

私の力では、小さなツツジと竜の髭くらいしか抜けません。それでも近所に声を掛けて、大きな植木鉢や背の低いサツキ数本は行き先が決まりました。

工事はキンモクセイの生け垣を根本で切ることから始まりました。着工初日にして植物は根だけになり、平屋の家もあっという間になくなってしまいました。

最後の日、根を掘り起こしているショベルカーの人に母が声を掛け、残った大きな根をもらうことができました。まだどうなるか分かりませんが、引き取り手を捜して、生かしてあげたいと思います。

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